はじめに
運送業の保険は一般的には運送業者貨物賠償責任保険のことを指します。この運送業者貨物賠償責任保険というのは運送業者がお客様から預かった荷物を運送・保管中、事故でその預かっている荷物に損害を与えてしまった場合の賠償責任を補償する保険となっています。
運送業者にとっては事故は避けられないと言っても過言ではありません。多くのドライバーは一般のドライバーよりも安全な運転をしているかなという感じを受けます。歩行者側からみるとトラックのドライバーが最も周りに配慮している方が多いなという印象があります。
安全運転をしていても相手のドライバーや歩行者などの運転ミスや無理な横断などでも事故は起こってしまいます。過失がなくても事故に巻き込まれてしまいます。そうなるとお客様からの預かっている荷物に損傷が起こることも考えられます。そこからの損害の賠償責任を負うことになります。そのようなトラックドライバーを保護する目的で作られたのが運送業者貨物賠償責任保険になります。
賠償範囲は2通り
運送業者貨物賠償責任保険の賠償範囲は原則としてすべての事故の場合と運送中の事故に限る場合の2通りがあります。
原則としてすべての事故の場合というのは天災事変などの場合を除いてすべてという場合になります。雨などで施設管理している荷物を濡らしてしまった・クール便などで温度管理を誤ったなどの場合も補償の範囲に含まれます。カバーする範囲は広くなりますがその分保険料が高くなります。
もう1つは運送中の事故の場合に限られます。この場合は運送中の衝突事故・保管中の火災や爆発・さらには盗難までをカバーします。運送事故の場合は原則この範囲でカバーできます。温度管理ミスまでを運送保険でカバーするというには微妙なものになります。この方法が原則で上記の場合は特約で対象を広めに取るという考えを持っても良いのかもしれません。
その他の保険
運送業のその他の保険としては運送特約付き事業用自動車総合保険・国内貨物総合保険・外航貨物海上保険なども含まれます。
運送特約付き事業用自動車総合保険では突風や看板の落下などの突発的な事故でお客様から預かった事故でお客様から預かった荷物が損害を受けた場合の賠償などを行っていきます。ご契約のお車への貨物の積込み作業や荷卸し作業、および他の自動車への積替え作業中に、他人を死傷させ、または他人の財物を損壊させ、法律上の損害賠償責任を負った場合に下表の保険金額を限度に保険金をお支払いします。
国内貨物総合保険では荷物を運搬中に車両の爆発や火災・荷下ろし中の落下・強盗などのような偶発的な事故などの時に損害が賠償されます。さらに特約を付けることで補償の期間や範囲を広げていきます。
外航貨物海上保険では海上・陸上・航空間の国際間の貨物について輸送中に起こった事故についての損害を補償していきます。出航地の荷物の積み荷が始まってから仕向地での荷物の積み下ろしが終わるまでの期間が補償の対象範囲になります。
その他管理している施設が損害を受けた時の事業活動総合保険、長時間運転などの過重労働などが原因で事故が起こった時の業務災害総合保険、ドライバーの運転ミスなどが原因の事故でけがをした時の補償をするための自動車保険、運搬中などに自転車や歩行者などをケガさせてしまった時に損害の賠償を行う請負業者賠償責任保険などがあります。
まとめ
運送中には自動車事故をはじめとする様々な事故が起こることでお客様から預かった荷物を損傷することが考えられます。予想のしにくい突発的な事故が起こることで同様のケースになり得ることもあり得ます。また荷物の積み下ろし時などに歩行者や自転車などとのトラブルなども考えられます。そのような時のためにも運送保険に加入しておくことをオススメします。
また国内や海外を運航する貨物などの船舶事故などで貨物に損害を与えてしまう可能性も十分に考えられます。そのような時のためにも補償をしていますので一度加入を検討してみても良さそうです。
