法人保険の種類はどのようなものがあるのか?

はじめに

法人保険の種類は大きく分けて6種類あります。利用目的は様々ありますが決算期に合わせての損益の調整・取締役の万一などのための緊急予備資金の確保・取締役や従業員の方などのために退職金を準備するなどが挙げられます。

法人保険には生命保険と損害保険の2種類があります。生命保険だけでなく損害保険も法人保険の一種に入ります。

主な生命保険の種類としては長期平準定期保険・逓増定期保険・養老保険・がん保険・医療保険などがあります。一方損害保険は賠償責任保険・業務災害総合保険・火災保険・自動車保険などとなっています。以下では、長期平準定期保険、逓増定期保険、養老保険、賠償責任保険、業務災害補償保険についてわかりやすく解説しています。

長期平準定期保険

長期平準定期保険は最長で100歳まで加入し続けることができますので長期の保障を受けることができます。解約すると同時に返戻金を受け取ることができるので掛け捨てにならないというメリットがあります。解約返戻率のピークは25年から30年ほどと遅めになっています。また若い時に加入するほど返戻率は高くなる傾向になります。何かとお金のかかる時期や事業承継対策も含めて資金の必要なときに解約ができるように作られているのかなという気がします。

ただ長期平準定期保険という名の通り、長期間同額の保険料を払い続ける必要がありますのでずっと加入していると多額の保険料を払うことになります。また解約返戻率のピークが遅いので早くに解約してしまうと払った保険料の半分も戻らないなどのことも起こり得ます。長期平準定期保険は解約返戻率のピークが遅いということを考えると長めに入るための定期保険なのかなという感じがします。

逓増定期保険

逓増定期保険は次第に保険料が増えていきます。保険金は最終的には加入時の5倍程度になりますので安定して黒字を出している企業向けの保険と言えます。また解約返戻率のピークも5年から10年とかなり早く来ますので遠くないうちに事業承継の自社株対策をしなければならないケースや従業員の退職金の用意などをしたい場合に有効といえます。また逓増定期保険は損金が1/2の保険ですので税制面でもそれなりの恩恵も受けます。解約返戻金のピークも早く実質返戻率も高めになりますので資産構築にも適しています。

ただ解約返戻金のピークが早いのでどこで解約するかがポイントになります。ピーク時に黒字で解約してしまうと税金の繰り延べに過ぎません。従業員の退職金などを用意できれば問題ありませんがそのような資金が出ないと解約のタイミングが難しくなります。そうしているうちに解約を逃す可能性があるのはこの逓増定期保険の不安点でもあります。

養老保険

養老保険は保険者と被保険者の両方にメリットのある保険といえます。加入期間中に保険者が亡くなると死亡保険金が支払われます。生きて満期を迎えることができれば満期保険金が払われる仕組みになっています。どのようなケースでもそれなりの保障を受けることができますので経営者などの老後などの将来的な備えをするのに適した保険といえます。

この養老保険の受取人を死亡時は被保険者の配偶者や子供・満期受取人を法人にしておくと逓増定期保険同様に半額損金の保険扱いになります。そうでない限りは損金算入されません。事業のことを考えても満期受取人を家族ではなく会社にしておいた方がメリットが多いのではないかと思われます。

賠償責任保険

賠償責任保険は企業が事業活動を行った時に他社に損害を与えてしまった場合に適用される保険です。建設工事保険・請負業者損害責任保険・自動車保険・役員賠償責任保険などがこの賠償責任保険に含まれます。

業務災害補償保険

業務中の災害を対象としている保険です。製造業や建設業などのような危険作業を行う会社の経営者や従業員は加入すべき保険といえます。またこの業務災害補償保険は労災保険では補償されない経済的なリスクまで補償を行います。自動車保険に例えると自賠責保険が労災保険、任意保険が業務災害補償保険というところになります。 ただ損害保険では損金算入されないものや満期返戻金を受け取れない掛け捨てになってしまう保険も少なくありません。さらに保険商品が細分化されていますので自分の目的にそぐわない保険に加入しないことが第一のポイントになります。加入者個人や法人にとって最適な保険を選ぶことが大事になってきます。

まとめ

法人保険には様々な種類の保険がありますので、どの時期に・どのような目的で・どの保険に入るかを明確にする必要があります。一時的な利益が出た場合などには全損の定期保険で良いかなと思われますが、大抵の場合はどのような保険に入るかはとても難しく悩まれるのではないかと思われます。

例としては経営者自身の保障を考えるのか?法人の事業の安定を目的とするのか?従業員の福利厚生のために加入するのか?などの明確な目的を定めておく必要があります。

それぞれの保険のメリットとデメリットをしっかりと把握したうえであなたに適した保険に加入していただきたいです。