建設業の損害保険加入のメリットと注意点

はじめに

建設業はとても事故の起きやすい業界といえます。よって保険への加入は重要となります。事故が起こることで会社にも大きな損害になります。それだけでなく従業員や第三者の方にも大きな影響を及ぼします。建設業で考えられる事故は山ほどありますので多くの保険がそろっています。その中でもできるだけ多くの保険に加入することを考えてもいいのかもしれません。

資材や建築物などのモノに対する保険・通行人などの第三者に対する保険・従業員などの内部者に関する保険の3種類に分かれます。

モノに対する保険

資材や建築物などのモノに対する保険には建設工事保険・組立保険・土木工事保険などがあります。

建設工事保険

建設工事保険は建設現場で起こった突然の火事や事故などで建設中の建物や設備に発生をした損害を補償していきます。

保険金の対象範囲は事故が起こる前の状態に戻すための損害保険金・事故後の片付けのための保険金その他臨時の費用を負担するための保険金となっています。

組立保険

組立保険は建物以外の機械や設備などの組立工事に発生した事故の損害を補償していきます。機械の組立工事や配管・ケーブル・鉄塔・橋梁などの組立工事そして空調や給排水設備工事さらには内装工事やプラント工事などに適用されます。

保険金の対象範囲は工事している機械・設備などや足場や配線などの備品が損害を受けた場合となります。

土木工事保険

土木工事保険は工事中の施設や設備に発生をした損害に対して補償をしていきます。土木工事を主な業務にしている場合に補償の対象になります。

事故の内容や対象範囲は建設工事と類似しています。建設工事なのか土木工事なのかで扱う保険内容が異なるということです。

第三者に対する保険

第三者に対する保険は請負業者賠償責任保険・生産物賠償責任保険などがあります。建設業で大きな事故が起こると通行人などに大きな被害が及ぶこともあります。それが原因で会社の信用を大きく失墜させてしまう可能性があります。

請負業者賠償責任保険

請負業者賠償責任保険では工事を行うための施設などが原因で他人に損害を及ぼしたときに対象となります。たとえば高層マンションの建設工事中にクレーンで鉄筋を運ぶ際に誤って落下させてしまって通行人を死傷させてしまった場合などが考えられます。その場合の会社の損害賠償を補償するための保険となっています。

生産物賠償責任保険

生産物賠償責任保険は製造物や仕事の結果に欠陥があったことで消費者の方に損害を与えてしまったことによる損害を補償していきます。例えば看板の取り付け方に不備があって後日看板が落下して通行人がけがをしたもしくは通行車両が損傷して運転者が負傷したなどの場合が該当します。あくまで工事完成後一定期間が起きてからの事故が対象になります。

内部者に関する保険

従業員の方が工事中などに死亡もしくは負傷したりすることも考えられます。そのような場合も会社が安全配慮を欠いたということで損害賠償の対象にもなります。そのような場合には業務災害補償保険があります。従業員の方が業務中に死亡または負傷をしてしまった場合に補償されます。

基本的に建設会社の従業員は労災保険に加入しています。ただ労災保険では補償されるべき金額が低くなる傾向があります。損害賠償額が間に合わない場合も出てきています。このような時に業務災害補償保険がその部分をカバーしていく役割を担っています。

自動車保険

建設業の方は現場に向かう際や得意先回りなどの営業に行く際に車をよく利用します。その際の自動車保険が必要になります。自動車保険自体は個人と法人で大きな差はありません。

ただ法人特有のものとしてフリート契約というものがあります。このフリート契約は10台以上の自動車を保有している場合に契約が可能になります。保険料が1台ずつ契約するよりも割安に設定されています。翌年の保険料は10台の事故の総合評価で決まります。1台でも大きな事故を起こすと保険料が上がります。ただ数台程度が小さな事故を起こしても保険料が下がるときもあります。

まとめ

建設業の労働者は全国で400万人から500万人ほどいます。住宅・ビル・店舗・工場などあらゆる建物を建てていきます。高度な工事を行う場合も多いですのでどうしても事故の割合が高くなります。その際に保険未加入になってしまうと莫大な損害賠償を請求される可能性があります。一度の事故で会社が飛んでしまうことも考えられます。

そのような時のことを考えるとぜひとも保険に加入していただきたいものです。ただ建設業関連のすべての保険に加入するとなると資金の問題や手続き面などでもかなりの煩雑さになります。

あなたの会社や業務にとってどの保険に加入するのが最も効率的なのかを専門家の方と話し合って最善の策を講じていただきたいと考えています。

建設業に従事している方はどうしても事故を避けることは難しくなります。保険でカバーをしていくことでより安心して業務に集中できる環境を整えていただきたいと考えています。可能な限り多くの保険に加入をしていくことが大事になりそうです。

建設業の損害保険についてのご相談承ります。

足立 哲真 (Adachi Tetsuma)

  • R&C株式会社 代表取締役 
  • 一般社団法人日本企業地震保険協会 代表理事
  • 法人保険アカデミー 代表

金融サービスのプロフェッショナルとして世界中から認識されている国際的な組織MDRT(Million Dollar Round Table)の最上位メンバーであるTOT(Top of the Table)に2010年度より世界最年少で8年連続して入会。建設業も含む企業への財務戦略や経営者個人への資産防衛、資産運用のコンサルティングを専門とし経営者から高い評価を得ている。保険を活用したリスクマネジメントや資産形成に特に強みを持つ。現在、130名の金融に関するプロフェッショナルを社員として抱える金融事業者の経営者としても各界から高い評価を得ている。

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