利益の繰り延べにしかならない節税保険に加入するメリットとは?

質問Q

法人の節税に半分損金の保険を提案されています。ただし、仮に解約返戻率が100パーセントであっても解約時に税金がかかってしまえば、どう計算しても利益の繰り延べにしかなりません。死亡保障を抜きにした場合、この手の節税保険に加入する意味って何なんでしょうか?

回答A

半額損金の法人保険に加入すると課税額が保険無加入の場合に比較して半分になります。たとえば保険金額2000万円・法人税率23.2%の場合に保険未加入の場合は法人税を464万円払うことになります。ただ半額損金の保険に加入すると232万円の税金を払うだけになります。解約返戻金が100%だと普通にこの保険を解約してしまうだけだとそのまま資金が戻ってきて未課税分の232万円を後日徴収されることになります。これだけだとおっしゃる通りで利益の繰り延べ・税金の支払いの先送りをしたに過ぎません。

そうならないためには解約時に逆算して大きなイベントを作っておく必要があります。従業員の退職金支給をするために解約をすると退職金を用意した分が相殺されますので法人税額を大きく削減することができます。決算前に貯まった利益をそのまま法人税として納税するのではなく、損金を作りながらも万一に備えて解約返戻金という形で貯めておくという方法が法人保険契約の最大のメリットといえます。解約のタイミングで黒字ができてしまうと法人税を支払うことになります。できるだけ赤字の状態を作ってそこを解約返戻金で埋めるという形を作れるとベストなのかなといえます。

もしくは全損の逓増定期保険に加入して途中で会社から社長個人に保険の名義変更を行うことも一つの方法になります。法人で加入した場合の名義変更後の個人の保険の解約返戻金は税額が減りますので社長個人に資金がそれなりに残ります。法人は社長個人に名義を移していますので利益は残りません。よって法人としての課税対象にはなりません。

ただ法人で契約する逓増定期保険の場合の社長や従業員への名義変更ではすべてのケースで保険料が大きく減るというわけではありません。場合によってはほとんど税金が変わらない場合もありますので注意が必要になります。