法人保険の選び方の6つのポイント

はじめに

法人保険を選ぶ際のポイントについて考えていきます。法人保険は種類が多く選ぶのが難しいのですがある程度のポイントというものがありそうです。それをここでは紹介します。

経営者を中心に重視する

法人保険なので個人向けとは違い経営者を中心に考えることが重要です。経営者に万一があった・長期間の入院が必要・後遺症が残ったなどの様々なアクシデントも考えられます。そのような時のために解約返戻金のある商品や満期保証金などを得られるものが良いでしょう。また経営者が死亡すると家族の方の生活や事業承継に係る税金や自社株などの問題も出てきます。

このようなときには養老保険に加入をしておくと経営者の死亡時には家族の方に死亡保険金・生きた時には満期受取金を会社を受取人にしておくことで多くの部分をカバーすることができます。

社員の福利厚生を考える

経営者だけではなく従業員にとっても日々の生活が大事になります。そのようなところから会社単位での医療保険などへの加入が望ましいと言えます。ただ法人の医療保険は現在年間30万円までしか損金参入ができなくなっています。医療保険に税制面を期待するのは難しいところですが法人ということを考えると難しいところもあります・

そこで解約返戻金のある逓増定期保険や長期平準定期保険などを検討してみてもいいかもしれません。これらの保険は従業員の退職金を用意するために重要となります。多くの方が辞める代に保険を解約して退職金のための資金を作るという方法が賢明です。逓増定期保険はピークが10年ほど・長期平準定期保険は25年程度なのでベテラン社員が多い場合には前者・若手や中堅社員が多い時は後者にするなどの柔軟な対応が必要になります。

会社の緊急事態に対する備え

地震などの天災や取引先の倒産などによって事業に影響が出るなどの場合も考えられます。また取引上のトラブルなどにも対応することも重要になります。このような場合には契約者貸付制度の制度のある保険を選ぶのがポイントになります。

経営者貸付制度とは保険者が社長などの時には前もって解約返戻金を借りることのできる制度です。貸付金は無審査で早ければ数日程度で社長の元に入ります。この貸付金の返済は必要ですが低利子なので経営を圧迫する可能性はさほどありません。医療保険や養老保険などにも経営者貸付制度を適用している保険は多くなっています。それを検討するのも一つといえます。

もしくは業種によっては地震保険などの損害保険に加入することを考えてもいい感じがします。製造業や卸売業は建物が被害を受けると営業ができなくなって事業に影響が出ます。地震保険で事業活動ができない時でも最低限度の資金を確保することができます。

税金対策・キャッシュフロー

目的が税金対策なのかキャッシュフローなのかも大事になります。業績が上がって利益が出てしまったので税金の支払い額を減らしたいという場合には全損の保険に入ることが最も望ましそうです。また今後のことを考えて会社に資金を確保したいなどの場合には1/2損金や1/3損金の保険を検討し他方が良さそうです。すぐに必要なものなのか・長期的に必要なものなのかで加入する保険の種類は異なってきます。

事業形態や業種で検討

同規模の企業でも業種や事業内容が異なれば加入する保険は異なります。事業年数・社員数・年商・従業員数などを考えた上で最もすべてをカバーできる確率の高い保険を選ぶのも重要になります。法人生命保険にこだわらずに法人損害保険や場合によっては共済に加入するという選択肢も考えられます。

特に個人事業主の方でであれば掛け金の低い共済を利用することも選択肢に入ります。小規模企業共済や中小企業倒産防止共済などは月々の掛け金を自由に決められるので予算の少ない方にもメリットがあります。ただ共済も保険同様に加入期間が数年程度の短いものであれば元本割れのリスクは出てきますのでこの辺りの兼ね合いはしっかりと考える必要があります。

事業計画書を作成

安定した経営を行うには事業計画書の作成をしておいても良さそうです。IT業などのスパンの短い事業の場合には事業計画書を作りにくいところもあります。ただ建設業や小売業・飲食業などのように長期間同様の事業を行うような時には事業計画書が威力を発揮することもあります。事業計画書は長期的なスパンで考えることが重要になります。従業員が何年後に退職するか・どのようなトラブルが起こり得るかなどを考えるとどのような保険に加入するべきかが見えてくることが多いです。そのような細かいことを行っていくことで将来のために加入すべき保険が見えてくることがあります。

大事なことは事業の黒字の時に保険を解約しないことです。解約返戻金は益金に加算されるので法人税の対象になります。税金の支払いを先延ばししただけになります。従業員の退職金などの大きなお金がかかるときに保険を解約して返戻金を得るという方法が最もポピュラーなやり方かなといえます。