組立保険加入のメリットと注意点

はじめに

組立保険は組立工事を行っている期間中に偶発的な事故や作業員のミスなどが原因で起こってしまった損害をカバーしていくための保険になります。自社で持ち込んだ工事の目的物や材料などの損害賠償の部分にかからないところをカバーしていく保険にもなります。工事中に起こる事故のほとんどを包摂しています。

賠償責任保険は対人や対物などの事故によって他人や従業員などの人に法律上の損害賠償の負担をさせる場合に適用されます。

補償対象

組立保険の補償対象は自社で持ち込んだ工事の目的物などのモノに対してになります。外装工事・内装工事などの現場で起こった不測・突発的に起こった事故などについて補償をしていきます。また事故発生前の状態に戻すための原状回復に要した費用も補償の対象になります。

モノはどこまで?

工事の目的物のモノはどこまでが含まれるか。組立保険の場合のモノとは工事の目的物・材料、足場・電気配線・配管・冷暖房や照明設備・事務所にある什器や設備なども対象になります。

具体的には足場・鉄製支持材・パネル・木材・クロス材・窓ガラス・天井パネル・フローリング・システムキッチン・防水シート・エアコン・照明・給排水設備・空調機器・電気配線・ガス設備・断熱材・産業用機械・金属工作機械・パソコン・電話・電源装置・プラント関連の部品などが含まれます。

また資材が工事現場から離れている場合や工事現場での作業が許可されずに別の作業場で起こった事故についても補償の対象範囲に入ります。

対象事故

組立保険の対象の事故とはどこまでなのか。その事故が予測できないことかつ突発的な事故というのが要件になります。

火災:休日などに火災が起こって工事施設内にある建設資材が滅失してしまった
水害:台風などで工事施設内に水が入ってしまって建設資材が使えなくなった
風害:突風などでパネルなどは吹き飛ばされてしまった
盗難:工事資材が何者かに盗難されてしまった
作業ミス:天井工事中にエアコンを誤って落としてしまった

対象外の事故

ただ対象外の事象になってしまうケースも少なくありませんので紹介をしておきます。

作業員の故意または重過失によって生じた損害
自然の風化や経年劣化などによって起きた事故
地震や津波などのような広い範囲で起こった損害
戦争や争議などのような破壊損壊行為
放射能漏れなどの重大事故

補償期間

組立保険の補償される期間は自社の工事物などのモノをトラックなどに積み込んだ時点が起算点になります。その後工事現場に搬送をする輸送中・工事物を荷下ろしして・工事の開始から終了まで・そして建物を引き渡すまでの期間が対象になります。比較的長い間を補償していくのが特徴といえます。

組み合わせ

組立保険だけでは工事全体の損害にかかる補償をするには当然ながら不十分です。建設工事保険・土木工事保険・請負業者賠償責任保険・建設業総合保険・労災保険などの他の保険の加入を検討することも重要になります。

ただ意外に自社のモノが損害を受けることも考えられます。なかなか補償をしてくれる保険も多くありません。そのようなことを考えると組立保険への加入の是非も一度考えてみてもいいのかなという気がします。