リコール保険のメリットと注意点

はじめに

リコール保険は企業が商品の出荷後、商品に重大な欠陥が見つかった場合には、メーカーは修理や交換などに応じる必要があります。その際にかかる費用を負担してもらえる制度になっています。

企業が消費者に商品を提供するのにリコールというのは常にリスクになる分野と言えます。そのリコールに対する費用を補償していくのがリコール保険になります。

リコール保険とは

リコール保険とは商品の出荷後に企業が重大な欠陥を見つけた場合にはその商品を無料で回収していきます。無償の交換や返品に応じる必要があります。

リコール保険の対象としては自動車のブレーキの設計ミスで事故のリスクがある、エレベーターの設計ミスでドアが開いたままになってしまうことがある、衣料品に金属片が混入する、食料品の賞味期限の記載に誤りがあったなどの場合に適用されます。食料品・家具・家電・自動車などの数多くの商品がリコールの対象になります。

リコール保険の補償費用

リコール保険で補償される範囲は次のようになります。

リコールの事実を新聞・テレビ・ラジオ・ホームページなどで広報をするための費用
リコール製品を回収するのに必要な運送費用
リコール製品の代替品の製造や仕入れにかかる原価
リコール対象製品の修理費用
リコール対象製品の代替品を輸送するための費用
リコール対象製品を保管・廃棄するための費用
回収実施などで余分にかかってしまった人件費
リコールのために発生した出張費や人件費
改修や修理のための下請業者を雇った場合にはその費用
輸送・梱包・倉庫保管費用・廃棄費用
コンサルティング費用

このような費用を自社で賄おうとすると膨大な費用がかかります。そのため保険で補完をしていきます。

2種類のタイプ

リコール保険は2種類のタイプがあります。生産物賠償責任保険(PL保険)を補完するためのもの・損害が未発生でもリコールの費用をカバーしていくものの2種類です。

1つ目は一般的なリコール保険の適用範囲です。生産物賠償責任保険は製品やサービスへの損害賠償費用になります。一方リコール保険はリコールにかかる費用つまりは製品の回収にかかる費用や宣伝費さらには人件費などを補償していきます。損害の拡大を防ぐための製品の回収費用のことを指します。

2つ目は生産物品質保険のことをいいます。これは食品に限られます。食品は不特定多数の方に渡りやすくなりますのでリコールの対象が難しくなります。異物混入などがありますのでそれを防ぐ手立てが重要になります。

リコール保険のリスク

保険会社にとってもリコール保険はメリットのあるものばかりではありません。

発生してしまうと多額の保険金を支払うことが多い
発生頻度が高くなる
企業の品質向上努力の大小が発生率に如実に反映する

これらの理由から保険会社はリコール保険に前向きにならない場合もあります。

免責事項

リコール保険の費用を保険会社が全額負担をするということはかなりの負担になります。そのため下記のような場合には免責事項として保険会社は保険を支払いません。

保険契約者及び被保険会社の故意もしくは誠実さを欠いた行為
製品に対しての虚偽表示や法令違反
自然の劣化や経年劣化
有効期限や使用期限後の事故
当初から知るべき行為による事故
信用や評判の回復についての費用
リコールによる売り上げの減少
政府によるペナルティーの額

まとめ

製造という過程がある以上欠陥商品をなくすことは不可能です。と同時にリコールがなくなることは不可能に近いです。ただリコールをゼロに近づけることはできます。

リコール保険の対象は商品のリコールにかかる費用がメインになります。リコールをするための宣伝費・商品の回収費・輸送費や人件費などが対象になります。

食品に対しては損害の発生する以前の時点でもリコールの対象になります。生産物品質保険という形で保護をしていきます。

リコール保険は払う費用が莫大になります。保険会社も比較的厳格な免責規定を置いています。担保特約などもありますがなるだけリコールのお世話になることは避けたいものです。