海外PL保険加入の際のメリットとデメリット・リスクまとめ

はじめに

海外PL保険は自社で製造をした製品が原因で海外で事故が起きた場合や海外で販売をした場合に事故が起きた場合に賠償責任をカバーしていく保険となっています。賠償の対象は製品の保障費用だけでなく訴訟費用などにも及びます。

国内PL保険の他に海外PL保険に加入するかは判断の難しいところといえます。ただあなたが海外で商品の製造や販売を行っている場合には海外のPL保険にも加入した方が無難といえます。あなたの商品が海外に出回るということを考えると加入をしておくことをおススメします。

海外となると補償内容や要件などが日本とは異なるという問題が出てきます。それらを考えた上で保険加入の是非を考えていく必要があります。

適用範囲は広い

海外PL保険は自社で製造した製品が原因で海外で損害が起きた時にその損害について賠償をしていく保険になります。あなたの商品に欠陥があってそれが基で海外でトラブルがあった時に賠償の対象になるということです。

あなたの会社が日本のみで販売を行っています。その場合でもあなたの製造した商品が取引先の一部で使用されていて、その取引先が海外との取引があった時に、あなたの商品が原因で事故やトラブルが起こると賠償の責任を問われる可能性が出てくるということです。そのためあなたが海外展開をしない時でも海外PL保険に加入をしておいた方が良い場合もあります。

アメリカなどの海外は日本とは法律・制度・文化・慣習などが全く異なります。日本では合法でも海外では違法になることも間々あります。その場合の損害賠償も日本とは桁違いに異なります。

アメリカなどではコーヒーの温度調整が甘いだけで数億円の損害賠償を請求されることもあります。中国などでは製品の欠陥を日本のせいにして訴えてくる方もいます。日本の習慣でいると痛い目に遭うことも多々ありますので注意が必要です。

補償内容

海外PL保険の補償範囲は被害者への損害賠償があった時にはその額が原則支払われます。保険加入前に海外に輸出した商品に欠陥があって損害があった場合でも、保険加入時に当該対象の商品として申告すること、かつ保険会社が承諾をすることで保険金の対象になります。

次に被害の拡大を防ぐために要した費用にも保険金の対象になります。被害の拡大を防ぐために行った措置やその措置を行うために発生した輸送費用などにも対象になります。

また訴訟費用や弁護士費用・調査費用などにも対象が及びます。敗訴した時の訴訟費用だけでなく勝訴の場合の調査費用なども対象になります。

あとは製品のトラブルが基で裁判や訴訟が拡大しそうな流れの時に、保険会社に協力をした時の活動費用や収入の喪失分もカバーの対象になります。

特約

上記の部分が海外PL保険の対象範囲になります。ただこれだけでも海外が相手ということを考えると補償が足りない場合も出てきます。その場合は特約でカバーをしていきます。

自社製品が取引先で加工されて輸出・その加工が甘かったことが原因で海外で事故を起こしてしまった時やリコールにかかった費用なども特約を加えて補償をしていきます。リコールの場合は自分でその欠陥を認めた上でさらに無料で修理や交換を行っていくことが必要になります。莫大な費用がかかることもありますのでこの部分も特約でカバーをしていきます。

また海外PL保険の補償期間は1年間で毎年双方の合意で更新されます。

通貨問題

あなたの製品が原因で海外で事故が起こった場合には損害賠償金を払うことになります。その賠償金は事故の起きた国の通貨で払うことになります。アメリカでいえばドル・フランスであればユーロということになります。

また海外PL保険に加入した場合の保険金の受け取りはドル・ユーロ・円のいずれかで受け取ることができます。為替レートが円安であれば海外の通貨が望ましいのですが両替のコストもかかります。基本的にはドルもしくは円で受け取ることがベターといえます。一般的にはドルで受け取っている企業が多いので差し支えなければドルでもいいのかもしれません。

メリット

海外PL保険のメリットは次のようになります。

被害者への損害賠償金の大半の金額が補償される

損害賠償金だけでなく損害の拡大を防ぐための費用や訴訟費用・争訟費用などにも損害の対象になる

取引先の製品にあなたの製品の一部が含まれている場合で損害が起きた時にも同様に補償される。

デメリット

逆に海外PL保険のデメリットは次のようになります。

海外の場合は日本よりも損害が起きた時の賠償額が高くなる傾向。

海外をまたにかけた製造業などの場合は国内PL保険の他に海外PL保険に加入する必要がある。

リスク

リスクとしては自社で作った製品だけでなく、取引先が海外の方向けの製品を加工した場合に起きた損害にまで範囲が及ぶこと。

損害が起きた時の保険金の受け取りをドル・ユーロ・円のどれで受け取るかも重要。為替レートや両替金なども考えてどの通貨で受け取るかを考える必要がある。

まとめ

海外PL保険はあなたの作った製品が海外で事故やトラブルになって損害賠償をさせられた時に支払われる。

保障範囲は損害賠償の費用・被害の拡大を防ぐための費用・訴訟費用や弁護士費用などにも及ぶ

あなたの製品を取引先が加工してそれが基で事故が起きた場合にも特約などで保険金がカバーされる

補償期間は1年間で更新も可能

アメリカなどの海外は損害賠償費用や訴訟費用なども高いので取引をするには本当に注意が必要